明治時代の銅山跡を訪ねる PartⅠ【大峯】



昔の人は偉く凄かった!


レポはケルト


2015年10月03日(晴れ)

piccoloさんが昨年から情報収集していた大峯の銅山跡を、ある程度特定できる書物が見つかった。

書物は、「和歌山圖幅地質説明書」(出版は1902年明治35年)で次のように記載されている。
“…吉野郡〇〇村大字〇〇ニアリ、〇〇川上流ニアリテ其西側支流タル「A」谷ノ北中腹ニ位シB街道ヲ〇〇ヨリ西ニ入ルコト約半里ナリ、山岳嶮岨ニシテ谷フカク操業ニ便ナラズ…”
見たけど私にはチンプンカンプンf(^^;)

piccoloさんが地理院地図や航空写真を見て分析?結論が出たようです。
明治から比べれば現在では谷や川名は細かくつけられているだろうし、林道も整備されているだろうから“山岳嶮岨ニシテ谷フカク操業ニ便ナラズ”は気にしなくてもいいのではないかという見解。

とにかく山域は特定、ここかな?と思われる場所三ヶ所をピックアップしたので出掛けてみる。

ゲキ下り~

林道をゆっくり走行、まずは一つ目近くに車を止め林道歩きで谷と対岸斜面をじっくりと観察するがとても取り付けるような傾斜はなく二つ目に移動。


車から降りて場所を確認、二つ目は林道から標高で150m下ってトラバースするらしくこれまたかなりの急斜面だなぁ・・・。


“植林地内なので下れない事はないで~”と探索決定!しかし、こんなとこ下りてく人なんていてないだろうY(>_<、)Y。


アキノギンリョウソウ

かなりの急斜面を木に掴まりながら下って行く、アキノギンリョウソウを5~6本見つけたのがせめてもの慰め??。


特定した場所まできたがまったく穴らしきものは見つからな~い!。
下ったり登り返したり、はたまたトラバースしたりでくまなく探索するがそれらしき形跡はない。


小休止で思案中のpiccoloさんに虻?んん何か違う!3cmはありそう。良く見るとスズメバチだ。


ここからあっちこっちウロウロのはじまり~

カチカチと威嚇はしていないが、しつこくつきまとうのでハチ撃退スプレー噴射、素早いスズメバチにヒットしないが退散してくれた。


もう一度特定した場所に戻り、かなり下るが手掛かりなし。ハズレなので、1つ目の所に戻ることに。

戻る途中で林道工事のおじさんを見たので、piccoloさんが聞き込みに行った。


運よくおじさんは地元の人で、銅山跡はそっちではなくこっちの山で、特定していた3つ目近辺をチョークで地図書いて詳しく教えてくださった。


今でも名が残るパレードコーヒー!

当然だけど山中に目印はないので書いて下さった地図は私にはまったく理解不能f(^^;)。


そちらへ移動。時間はもう12時前なので、車の横でランチを食べてから再探索。


橋の袂の沢沿いから尾根を回り込む作業道を歩き、目の前の谷を横切らずに尾根を直登すると少し広い台地があり何かの塔の基礎があり空き瓶や錆びたワイヤーが残っていて、その中には見たことないパレードコーヒーなる空き缶も。


台地

ここの塔の基礎が鉱物運搬に使われたのかも?と上を目指す事とする。


おじさんの話ではここの尾根を登るらしいけど、piccoloさんが先に見えてる岩場を少し登って確認しに行くが巻けそうにないのですぐ隣の尾根へトラバースして登る事に。


左側へトラバース、隣尾根をとりあえず直登するが灌木が覆い茂る藪コギに難儀する。


下と上に水平の作業道があるからとおじさんが言っていたらしく、道に出るまで藪コギしながら登って行く。


綺麗なトマト色

途中でトマトのように赤いきのこたんがニョキニョキお初見です。しかしどこまで藪コギしないといけないんだろう?まだ上なの?。


時間は長く感じたけどようやく水平道に出た!!右側の尾根を回り込み台地横の谷上流部を越えた辺りで上に登るらしいが水平道が無くなった。


piccoloさんが周辺を上り下りして探すが消滅してる。


際どい痩せ尾根です~

仕方なく回り込んだ尾根に取り付き尾根芯を登るけど、徐々に痩せ尾根となり危なっかしいので引き返すことに。


「もういいんじゃない、帰ろうよ」と言うとpiccoloさんも仕方なく下山する事に。


水平道に降りた所で、“もしかして、おじさんが言っている上の水平道がここかな?”とpiccoloさん。


だとしたら登りすぎてる事になるらしい!!ゲッ!!。


銅の焼鉱窯かな?

下の水平道まで戻る事になるが、どこもかしこも灌木だらけでこの水平道まで登ってきた場所が判りづらく辿った水平道の見覚えだけでpiccoloさんは下りはじめるが、岩場のあった尾根に入り込まないように少し右よりに下るが当然灌木は避けられな~いY(>_<、)Y。


ようやく下の水平道に出た。“もう一度台地まで行って先を再確認しに行こう”とのことで水平道を左へ進む。


すると石垣が組まれた何かの跡が5つ並んであった。何だろう?


最初にもう少し回りこんでいたらなぁf(^^;)

それを過ぎるとこの道の終わりが先程の台地となっていたのでした~。


ザックを置いて周辺を探索、私が見に行った方に薄い踏み跡があり行けそうな雰囲気なので、piccoloさんを呼び見に行ってもらう。


私も後を追いかけたが途中で引き返すが何故か気になり振り返ると「おおぉ~対岸斜面に大きな穴が~もしかして!」と同時に「あった~~」の声が響く、なんと銅山跡発見!!先程すぐ近くまで来ていたのに二人共気付かなかった!。


現存するトロッコレール

対岸に行くにはザイルが必要なのでヘッデンも用意していざ銅山跡へ。


対岸に登るとトロッコレールの残骸がありその先は坑内へと続いている。


坑内からは冷たい空気が出てきてるので、一枚羽織りヘッデン点灯して暗闇の奥へと進んで行く。
坑内の岩盤が崩れた様子はなくしっかりしてる様子で、手彫りされた迫力がヒシヒシと伝わってくる。


少し水が溜まっているけど登山靴で歩け、レールも原形をとどめている。


輝く天井

天井も結構高く、私は普通に歩ける高さでライトを照らして見るとコオロギのような虫が引っ付いている。

先を行くpiccoloさんは蛾のようなのも居るというので見てみると、白い羽の蛾で燐粉がヘッデンの明かりで光って見える。天井も所々白く光っている?なんだか神秘的。


そしてここには珍しいコオモリも確認されているらしいが見当たらない。
100m来ただろうか?まだまだ奥に続いているようだけど、ヘッデンでは心許ないのでここら辺で戻る。


坑内170cm位でしたら立てま~す

“苦労が報われたね~明治時代の遺物に会えたね~”とハイテンションとなり、まるでトムソーヤの冒険だ!


地元以外では、ほとんど知られていない変わった場所を探すのに苦労はつきものだが、発見出来るとは・・・夢の中の出来事のよう。


再訪時は、懐中電灯と長靴持参でまだ奥の坑内を探検だ。



銅山入り口 トロッコレール残骸
銅山跡前の小滝

               




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