前鬼川 前鬼トンネル~黒谷出合【大峯】




不動七重の滝F7落ち口の瀬でまさかの…!




2017年07月15日(快晴)


レポはケルト


前鬼川黒谷出合から上流は相変わらずの人気、沢シーズンになるとわんさか人が入っている。
今日は、第一部が前鬼トンネル~黒谷出合、第二部が前鬼トンネル~不動七重滝F7落ち口の瀬で遊ぼうと林道途中の路肩に駐車する。

まずは、駐車地から前鬼川に降り黒谷出合まで遡行、キャニオニングをしながらここに戻る予定。

おお~気持ちよさそう~

AM8時前鬼トンネルから入渓、下流域なので水温も低くなくすぐに腰まで浸かりいきなり泳ぎが始まる!50m程あるかな?穏やかな瀬の向こうは深そうな美しい緑の廊下になっている。


先にpiccoloさんが泳いで行く、岩に上がったのを確認して私もダイブ~。
流れが穏やかなように見えていたけど、平泳ぎではなかなか進めずクロールで頑張る。


途中の岩にへばりつき流されないように踏ん張り休憩。先を見るとまだまだ泳ぎは続く。息を整えてダイブ~。


チョー気持ちいい~

今度は右側へと移動してきつい流れを避けるように泳ぐがしんどい~~~~。


ドボンしないように岩上へと上がるとなんて美しい景観が広がっているんだろう!!素晴らしい~。


陽射しが入り両側の岩場と水流がなんとも言えない景観になっている。頑張って泳いできてよかった~、感動ですぅ~。


うっとりしているのも束の間、その先はカーブになっていて沢の様子が見えないので、piccoloさんが左岸岩場に登って偵察に行った。


偵察中

どうやら結構泳がないといけないようだ!どれくらい?と聞いても“わからん”だって!緩い流れを狙って泳ぐpiccoloさん、途中の岩場ではへつり泳ぎしながら60m程泳いで取り付けそうな右岸岩場へ辿り着いた。


登ると大釜を見下ろせる岩場で上には5m滝だ!ここの大釜は深さもあり左岸岩場から8mダイブも可能らしい!がそこからダイブする勇気はない。


しかしここからどうやって滝上へと移動したらいいのだろう?ハーケン2本がボルトで固定されてるらしくpiccoloさんが目を凝らして探している!“あった~”でも際どい岩場にあって足を滑らしたら6m下の大釜にドボン!もっと安全策はと探す。


下では、偵察見守り中

あそこの樹まで登れば行けそう!とザイルを出してpiccoloさんが登って行く。
案外すんなりと樹の上に登れた様子で、まもなくでザイルを引く合図があった。


私も登って行く。樹の下で根を掴むけど足の置き位置が分らず、どうしようとなっていたが左側に登れそうな足掛かりを見つけて登ることが出来た。


その後はスムーズに滝上へ、上から眺めるがやっぱりダイブする勇気はないなぁ、ここから飛び込む人たちは凄いなぁ。


5m大釜の滝

ここも素敵な景観が広がっている。視力のいいpiccoloさんが木に止まっているオオルリを発見。遠くてぼやっと青い鳥が見える程度だ。カメラで望遠にするがピンボケになる。


岩場を登って少し進むが、2m斜瀑の流れがきつく突破出来そうにないので、5m滝まで戻り林道への巻き道利用。


林道を5mも進めばすぐ降りる踏み後を辿って沢へと戻る。しばらく穏やかな瀬が連続する癒し渓~♪。


5m大釜の滝

今迄に行った沢と違って、まだ入渓して間もないとこからたくさん泳いだけど、満足度100%。ここも楽しいなぁ!!


気温が高く明るい沢なので全身濡れてもまったく平気だ。
しばらく行くと右岸側の少し広めのたまりでお魚がたくさん泳いでいる、生簀の様だ。


オタマジャクシもたくさんいる。黄色い首のヤマカガシも居た。穏やかな瀬ではいろんな生き物が見られた。


5m大釜の滝巻き上がり完了

ワイヤーだけが残る吊り橋の残骸が見えて来てゴールの黒谷出合は目の前だ。


たくさん泳いだから体力消耗でお腹がペコペコ、パンを食べ小休止。

今日一番の目的は不動七重の滝F7の落ち口の瀬に行く事だ。そんなところに行けるの?行けたら凄いなぁとワクワクしていた。


いつも林道展望地から七重の滝は見ていたけど、見えているのは下五段だけであった。


大釜に飛び込む勇気ありませ~ん

でも、今からキャニオニングで戻って行くと、一番の目的が果たせないので、キャニオニングでの降渓は次回のお楽しみということで、林道から駐車地へと戻り不動七重の滝F7落ち口に向けて降渓する。


入渓すぐは浅瀬だったが、100mも下れば急流の3m斜瀑でこれは無理、右岸の岩場は懸垂下降できそう。


しかし、3m斜瀑の流れは下流側で両岸の岩が狭まって、勢い弱まらず淵に流れ込んでいる。
帰りの遡上を考えれば30mザイル(手持ちは30m1本)がもう一本必要になるとpiccoloさん。


この景観

他にルートが無いかと、一旦林道に戻りトンネルを二つ抜けたが、沢は林道からかなり遠ざかっていて降りられるところはない。


駐車地に戻って車の後ろで少し早いランチとする。不動七重の滝F7の落ち口まで距離は短いので私は空身、piccoloさんも他の荷は車に残して最小限の荷物で行く事になった。
もう1本ザイルを追装備して再スタート。


3m斜瀑へと戻り、右岸上方の樹にシングルでザイルをセットして懸垂下降で降りる。


ここも癒し渓~

斜瀑下流側の両岸の岩が狭まった流れは、やはり凄い水流となって淵に流れ込んでいる。


向こうへ行けても戻って来られないのでは?ちょっと恐怖心が出てくる。


piccoloさんがもう1本のザイルを繋げて60mにして、その流れに浮かべるとあっと言う間に淵の浅瀬まで流されていく。


ザイルを持ちながら、先にpiccoloさんが流されて?行き私も後に続くが、やはり流れは速く浅瀬まであっという間!。


美しい瀬が多い

流れ着いていたザイルが、淵に渦巻く水流で上流に持っていかれそうになっている。それを見て岩場にザイルをくくり付け持っていかれないようにした。


ザイルが無くなったら、戻れないやん・・・"(-""-)"
先に少し泳ぐ場所もあるが気持ちよく進んで行ける。


ただこの先にザイルが使う場所が出て着たら手持ちのザイルは残置してきたので、そこまでで終わってしまう。


生簀を観察中(=^^=)

左岸を巻きながら徐々に沢芯へと戻ると、目の前に大岩が2つ出て来た。


大岩の横を通り過ぎると、沢前方の視界が開け明らかに滝の落ち口と分かる光景となりpiccoloさんが“来た感じ、ゴール”と教えてくれる。


駐車地から僅か500m程だけど70分程費やしただけで、やった~!。
七重の滝F7落ち口の瀬が目の前だわ~、ここでのんびりするだけやね~。
度。。


泳いだあとの取り付き

先を行く、piccoloさんが“一人居るで”と振り返り、すぐにまたジィ~と瀬を見据えている。え!、こんな場所で人に会えるって凄い!!ここはあまり人が来ないとこなのに。


他に残置ロープは見ていないので、もしかして七重の滝を登って来た人なのかな?とその時は思った。


見据えていたpiccoloさんがこちらに戻ってきながら、“動いてないわ!”と言う、エッ???どういうこと???私も見える場所へ移動、確かに瀬の真ん中でうつ伏せになってる人がいるが、まったく動かないのを確認した。“亡くなってるわ”の言葉に一瞬頭の中が真っ白になった。


小滝と瀬が交互に現れる

遺体は瀬が浅くなった所で流されずに引っ掛かった状態。


この界隈夕立が多いので雨で増水して滝下に流されたら大変だから遺体を瀬から引き上げやなとpiccoloさんが言うが、急な流れの2m滝や右岸左岸共にザイルが必要となる状況。


巻き道も探したが無さそうだ。幸いにも瀬の上空は広けているのでヘリは大丈夫そう。


なんなんでしょうこの景観

時間はまだ13時40分だ。日没まで時間は十分あるので警察・消防に連絡したら、今日中になんとかなるかも。とにかく一刻を争うので戻ることにした。


初めて目にした遺体、心の動揺を抑えて今は慌てず冷静に戻らなければと自分に言い聞かせpiccoloさんの足手纏いにならないように慎重に足元を確認しながら戻る。


残置ロープの所まで戻って来た。


水流で奇妙な形状に掘れた大岩

ここからがシャンとしないとと思い先に行かせてもらうが、流れがきつくなってくると、体は水面に浮き両手に体重+αの負担掛かってくる。

足も届かず一生懸命流れに負けないようにと、ザイルを辿り遡上するが、岩場が狭まりなお一層流れが増すと口に水が入ってきたりで疲労感が半端ない。


やばい・・・、行けないかも?・・・ 一旦浅瀬に戻って息を整えた方がいいかもと思っていたら、真後ろにpiccoloさんが来ていた。


こんなのはパス

進みたくても進めない。どうしようとりあえず休憩したい~~~~と思っていたら、少し先の岩場に窪みがあり、そこに足が置け、上半身が水面から出られた。


よし!もうひと頑張りや!、急流の真上に倒木が横たわっていて、倒木上に登れたら行けるかもと渾身の力を込めて倒木の上へ、息を整えることが出来た。(倒木が救ってくれた)


ザックを背負うpiccoloさんも水流に負けそうになっている。窪みがあることを教えpiccoloさんも倒木の上に上がれた。


遡上は、残置したロープだけが頼りです

右岸の岩をへつりながら進むと、徐々に浅瀬となり足が届き懸垂下降で降りた所まで来られた。
最後の難関でもある大岩を登らなくてはならない!!。


先にpiccoloさんが、シンプルアセンダーで登るが大岩の下半分1.5mがオーバーハングしていて更に足掛かりがなく、登れるところを探しながら行こうとしているがなかなか見つからず登ってはズズズーっと落ちてくる。


私も必死でpiccoloさんのお尻を持ち上げるとなんとか根性で登り上がった。


贅沢ですが美しすぎます♪

私の番だ、アッセンダーを2つセットして焦るなと自分に言い聞かせながら時間はかかったが登り上がれた。
ここまで来たら一安心である。


車に戻り素早く着替え、電波が届くR169前鬼口へ下りpiccoloさんが警察・消防に連絡。


間もなくてパトカーと救急車が来た。警察官に状況説明をして沢装備がないといけない趣旨を伝えてる間も、続々と緊急車両が到着して騒然となる。


2つの大岩は左岸巻き

進レスキュー車両が到着すると装備を準備し始めたので、piccoloさんがとにかく沢から行くのは困難と同じことを説明するが、なかなか理解してもらえない様子。


しばらくすると、非番であったが近くに居たとの事で、私服で年配の方がやってきてpiccoloさんに状況を聞き消防署員に指示を出し始めた。


現場上空が開けているのでヘリコプターでのピックアップが最善ではと伝え、すぐに防災ヘリを手配するように指示。1時間後の16:40分到着予定との事。


真正面がF7落ち口の瀬(動画のスクリーンショット)

その間、調書作成の為の説明などしていると、"ヘリから現場上空から確認"10分後には死亡を確認と緊迫した連絡が入る。


17時過ぎピックアップ完了とのこと。発見からすぐに引き上げられる事が出来た。


後日、警察や消防から連絡が入り、ご遺体は家族の元へ帰ることが出来たとのこと。


警察・消防の管轄は吉野です

一旦、ザイルを取りに戻る時、七重の滝は次回にする?と行くのを諦めようとしたが、ロープを追加してその場に行ったのは、ご遺体が私たちを呼んだのかも。
私たちを驚かさないように、うつ伏せになっていてくれたのかもしれません。


山や沢へ入る時は楽しいだけじゃなく、万が一のことも肝に銘じてと改めて痛感させられる出来事だと思いました。


亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
          合掌。


 360°カメラ

マウス左ドラッグで全方向が見られます。
フルスクリーンでは、マウスのダイヤルでズームインアウトも可能。

YouTubeでの画質設定は自動になっていますので、パソコンによっては画質が悪くなり見にくい場合があります。

 YouTube再生画面右下の設定(ギヤのマーク)で高画質に設定変更して下さい。
読み込みに少し時間が掛かります。


 2つ大岩を巻く手前から巻き終わるまで

“一人おるでぇ~”で、カット編集しました。


7月30日追記

ささやかですが

滑落事故から2週間。
発見当日の滑落事故だった事も知り、非常に残念な思いで過ごしてきたのでした。


事故だったから本人の無念さ、ご遺族の悲しさを思うと現場にてお線香をあげ、手を合わせたいと二人共感じていたので訪れてきた。


今日は、水温低く若干水量も多く、現場まで到達する事が困難だったので無理せず手前で。
ご冥福を祈り、迷わず成仏されこの沢に遊びに来る人を見守ってね!…と。


お花は沢に

朝からどんより雲に覆われて小雨も降ったりしていたけど、手を合わせた頃から晴れ間も出てきて沢に霧が立ち込める。
喜んでいただけたのかな?

モヤモヤしていた気分も一区切り。



バタバタクロール(*^^)v
岩場一面のサツキ
生簀 オオルリ オッタマ君うじゃうじゃ
おお!マムシ君
ハチの巣
ゴマ塩オニギリ
クルリン
懸垂下降した岩場とお助け倒木 F7落ち口手前の淵

               

[PR]